日本は蓄電池市場で「勝ち筋」を見出せるか? 2030年に向けた7つのアクション…BATTERY JAPAN【関西】~第10回【関西】二次電池展~11月15日開幕

◆日本は蓄電池市場で「勝ち筋」を見出せるか

EV(電気自動車)市場で日本は後進国、周回遅れといわれ、そのEVの主要部品である液系リチウムイオン電池の市場でも数年前までトップシェアを握っていた日本は今や中国、韓国の後塵を拝する状況にある。日本は蓄電池市場において、どのような戦略を掲げグローバルに存在感を示していくのか。

その戦略を描くのが、経済産業省 商務情報政策局 電池産業室だ。同室長の眞柳秀人氏は「日本がグローバルな蓄電池市場で勝っていける戦略はある」と語る。

電池産業室は「電池が戦略物資として、また、GX(グリーントランスフォーメーション)、DXを進めていく上でも重要性が高まってくる中で、電池の産業政策に特化した専門部署のもと産業戦略を打ち立てていく」(眞柳氏)ために2021年に設置された。眞柳氏はその2代目の室長で、2022年策定の蓄電池産業戦略を「実際の取組として具体化していくことがひとつの大きなミッション」と話す。

2015年時点では日本は車載用の液系リチウムイオン電池でシェアの半分を獲っていた。これを盤石のものとし、さらに日本が競争力を保っていけるよう次世代を見据え全固体電池の開発に注力してきた。しかしこの間、中国、韓国による液系リチウムイオン電池に対するキャッチアップが速く、市場の拡大に伴い中国、韓国がシェアを伸ばした。蓄電池産業戦略は、「このまま放っておくと次の全固体電池の時代が来る前に、液系リチウムイオン電池の世界で日本企業が淘汰されてしまうのではないかという危機感や、全固体電池の開発を優先してきたこれまでの政策に対する反省」(眞柳氏)を背景に取りまとめられた。

◆2030年に向けた3つのターゲットと7つのアクション

蓄電池産業戦略では2030年に向けて3つのターゲットを定めている。それが「国内に150GWh分製造基盤を確保する」「グローバル市場で600GWh分の製造能力を確保してシェア20%を目指す」「全固体電池の本格実用化で次世代電池市場を獲得する」というものだ。

この3つのターゲット実現に向けて、

(1)国内基盤拡充のための政策パッケージ

(2)グローバルアライアンスとグローバルスタンダードの戦略的形成

(3)上流資源の確保

(4)次世代技術の開発

(5)国内市場の創出

(6)人材育成・確保の強化

(7)国内の環境整備強化

と7つのアクションを産業戦略では掲げている。

眞柳氏は「これら7つのアクションはすでに着実に動き出している」とし、「1つめの国内の製造基盤拡充については昨年度の補正予算で約3300億円を早速確保して基金を造って支援している。この補正予算によって足元で約85GWh分の国内製造基盤の計画が予定されている。だが我々の目標に掲げている150GWhまでにはまだギャップもあるので、引き続き支援は進めたい。来年度の概算要求においては3300億円からさらにジャンプアップして5000億円近い予算を要求している状況」という。

また人材育成に関しては「まずはバッテリー関係の企業が集まる関西エリアをモデル地域として先行的にコンソーシアムを作って人材育成を強化する取組を始めている。具体的には工業高校、高専生向けのプログラム、それから高専生から大学生、大学院生を中心としたメニュー、それぞれレイヤーごとにプログラム開発などを行いながら、2024年度から実際に教育を行えるように準備を進めている。ただし全国でみるとサプライチェーン全体で3万人の人材育成、確保を目指しているので、まずモデル的に関西で始める取組を横展開していくことも重要」と眞柳氏は話す。

蓄電池産業戦略について眞柳氏は「この戦略は、単に日本企業の淘汰を防ぐという消極的な産業戦略では決してなく、経済安保上も戦略物資である蓄電池について日本が自律的に技術を持ってやっていくことで、グローバルプレゼンスを高めて世界できちんと勝っていく。勝ち筋の戦略だ」と強調する。

◆官民で取り組み実行していく

そう語る眞柳氏は11月15日にインテックス大阪で開幕する「BATTERY JAPAN【関西】~第10回【関西】二次電池展~」の2日目に行われる基調講演で「蓄電池産業の現状と今後の方向性」をテーマに登壇する。

眞柳氏は講演に向けて「蓄電池産業戦略自体は1年前に作ったものなので、産業戦略に書かれていることについての取組も徐々に進んできている。産業戦略に書かれていることに加えて、書かれていることが足元どこまで進んできているのかということもアップデート加えながらご紹介したい」と語る。

「蓄電池産業戦略は国が一方的に示したものではなく、蓄電池産業戦略検討官民協議会という場を使って官民で議論して官民で作ったもの。官だけがとか民だけがではなくて、官民で具体的な取組として実行していくことがとても大事。その上で政府として必要な支援は予算面に限らずしっかりとやっていくということも伝えていきたい」(眞柳氏)

制作:response編集部(イード)

■BATTERY JAPAN【関西】~第10回【関西】二次電池展~

会期:2023年11月15日(水)~17日(金)10時~17時

会場:インテックス大阪

主催:RX Japan 株式会社

※10月12日現在。最新情報は展示会HPをご確認ください

制作:Response