シェアリングエコノミーとは?
新たな成長分野のサービス例やメリットなどを解説

シェアリングエコノミーとは?新たな成長分野のサービス例やメリットなどを解説

近年、国際的な環境問題や持続可能な社会への実現に関心が高まっているなか、新しいビジネスモデルとしてシェアリングエコノミーが注目を集めています。

企業が持続的に成長するには、新しいビジネスモデルの創出が重要なため、新たな成長分野として期待されているシェアリングエコノミーの知識を深めましょう。

本記事では、シェアリングエコノミーの概要やサービス例、社会的なメリットなどを解説します。


▶監修:近藤 元博(こんどう もとひろ)

肩書:愛知工業大学 総合技術研究所 教授

プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムの開発、導入を推進。併せて生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクルなど幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入を推進。
「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」「市村地球環境産業賞」他資源循環、エネルギーシステムに関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他



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シェアリングエコノミーとは

シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して個人間、または個人と企業間で活用できる「場所・モノ・スキル」などをシェアすることで生まれる、新しいビジネスモデルです。

シェアリングエコノミーの特徴は、従来のB to BやB to Cのみではなく、C to Cのサービスが多いことです。

例えば、自家用車や自宅などの個人が所有する資産やリソースを共有するサービスは、シェアリングエコノミーの代表的なサービスです。企業側はアプリやWebサイトなどのプラットフォームを提供して収益を得ます。

2008年に開始されたアメリカのAirbnbがシェアリングエコノミーの始まりで、それ以降、海外では様々な形態のサービスが登場しています。

※1出典:総務省「第2部 ICTが拓く未来社会」
※2出典:Airbnb「私たちについて」


シェアリングエコノミーの市場規模      

全世界のシェアリングエコノミーの市場規模は、2013年時点で150億ドル程度でしたが、2025年には3,350億ドルになると予想されています※1。

また、シェアリングエコノミーに対する認知度は日本でも高まっており、市場規模は拡大しています。

株式会社情報通信総合研究所・一般社団法人シェアリングエコノミー協会によると、2022年度は2兆6,158億円、2024年度は3兆1,050億円となっており、2年間で18.7%増加しました※2。

さらに、一般社団法人シェアリングエコノミー協会によると、2032年には市場規模が15兆円を超えると予測されており※3、大規模な経済効果が見込まれています。

※1出典:経済産業省「シェアリングエコノミービジネスについて」
※2出典:株式会社情報通信総合研究所・一般社団法人シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミー関連調査2024年度調査結果(市場規模)」
※3出典:一般社団法人シェアリングエコノミー協会「【シェアリングエコノミー市場調査 2022年版】市場規模は過去最高の「2兆6,158億円」を記録し、2032年度には「15兆1,165億円」に拡大予測。」


シェアリングエコノミーが拡大する背景    

シェアリングエコノミーが拡大する背景には、スマートフォンとソーシャルメディアの普及が挙げられます。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により、消費生活が大きく変化したことも要因と考えられています。
 

シェアリングエコノミーの5つのサービスとその事例

シェアリングエコノミーは、大きく5つのサービスに分類されます。

  • 空間のシェア
  • スキルのシェア
  • 移動のシェア
  • モノのシェア
  • お金のシェア

各サービスの特徴を紹介します。

サービス① 空間のシェア

空間のシェアは、空いた場所や物件などを提供するサービスです。民泊や駐車場、会議室、イベントスペースなどの提供が挙げられます。

例えば、民泊では空いている部屋を旅行者に提供することで、提供者は収入を得ることが可能です。利用者にとっては地元の方々と交流ができ、ホテルや旅館などの宿泊では得られない経験ができます。

空間のシェアの代表的なサービスは以下のとおりです。



サービス② スキルのシェア

スキルのシェアは、ご自身の得意なことやこれまでに培ってきたスキルを提供し、仕事にできるサービスです。

例えば、家事代行や子育てシェア、クラウドソーシング(データ入力、記事執筆など)などが挙げられます。特にクラウドソーシングサービスは、スキルシェアの代表的なビジネスモデルです。

スキルのシェアの代表的なサービスは以下のとおりです。


 

サービス③ 移動のシェア

移動のシェアは、必要な時に自動車や自転車などの移動手段を利用できるサービスです。相乗りやシェアサイクル、カーシェアなどが挙げられます。

例えば、自動車を保有するには自動車の購入費や車検費用などがかかりますが、カーシェアを利用すれば費用の節約に繋がります。

移動のシェアの代表的なサービスは以下のとおりです。


 

サービス④ モノのシェア

モノのシェアは、普段使わないモノや一度しか使っていないモノなどを提供するサービスです。フリーマーケットやレンタルサービスなど従来からあるビジネスモデルが多い傾向です。

例えば、フリーマーケットの場合、出品者は使わないモノを売却して収入を得られ、利用者は手に入れたい商品を本来の価格より安く購入できるため、モノを捨てずに有効活用できます。

モノのシェアの代表的なサービスは以下のとおりです。



サービス⑤ お金のシェア

お金のシェアは、幅広い人から資金の支援を受けられるサービスであり、クラウドファンディングが挙げられます。クラウドファンディングの種類は、主に5つあります。

クラウドファンディングは資金調達手段としてだけではなく、テストマーケティングや広告宣伝などの目的で活用されるケースも増えており、今後の市場拡大が期待されています。
 

シェアリングエコノミーを活用する社会的なメリット

シェアリングエコノミーを活用する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 供給不足の解消
  • 潜在的需要の顕在化
  • 新たなビジネスの拡大

シェアリングエコノミーを活用すると、これまで市場に出てこなかった余剰資産やリソースを最大限に活用できるだけではなく、商品・サービスの供給量が増加し、プラットフォーム上でニーズをマッチングできます。

例えば、インバウンド需要などによる宿泊施設の不足が考えられますが、民泊によって既存の宿泊施設では吸収しきれない需要に対応可能です。

また、シェアリングエコノミーによってモノの入手やサービスの利用に関連する障壁が低くなり、消費者の潜在的需要が顕在化し、消費の拡大も期待できます。

さらに、余っている資産やリソースを利用する新たなビジネスが生まれる可能性もあります。すでに提供されているサービスに関しても、プラットフォーム上で新商品や新しいサービスを提供するビジネスが生まれるかもしれません。

シェアリングエコノミーの普及に向けた課題

シェアリングエコノミーの普及に向けた、主な課題は以下のとおりです。

  • 事故・トラブル時の対応
  • 安全性の担保
  • ルール・法律の整備

シェアリングエコノミーでは企業がプラットフォームを運営するものの、C to C向けのサービスが多いです。

お互いに知らない相手と取引を行うことが多く、事故・トラブル時の対応や安全性に不安を感じる消費者も少なくありません。そのため、安全を担保するため、保険の拡充や責任の所在を明確にする必要があります。

例えば、従来の保険は自動車や家屋などの所有者に対して提供されます。しかし、ライドシェアや民泊では利用者が対象となるため、所有者と利用者を区別した保険の提供が必要です。

また、ルール・法律の整備が不十分なことも課題として挙げられます。カーシェアリングやフリーランスの取引に関する法制度など、シェアリングエコノミーに関連する法律の整備は徐々に行われていますが、追いついていない状況です。

シェアリングエコノミーが今後も成長分野として注目されている理由

シェアリングエコノミーの普及には課題があるものの、今後も成長分野として注目されています。シェアリングエコノミーが成長分野として注目される主な理由を、以下で紹介します。
 

地域の課題解決に活用できる

シェアリングエコノミーは、地域が抱える様々な課題の解決に活用されることが期待されています。

※1出典:デジタル庁「地域課題の解決に向けたシェアリングエコノミー活用ハンドブック[2022年3月版]」
※2出典:総務省「シェアリングエコノミー活用ハンドブック」

地域によって抱える課題は異なりますが、シェアリングエコノミーの活用によって幅広い課題の解決が期待されており、今後も様々なサービスが登場すると予想されます。

持続可能な社会への貢献

シェアリングエコノミーは持続可能な社会へ多面的に貢献します。SDGsでは17の目標を掲げており、そのうち8項目がシェアリングエコノミーに該当すると考えられています。

※出典:一般社団法人シェアリングエコノミー協会「SDGs推進に向けた主な取り組み」

シェアリングエコノミーは、特に脱炭素やサーキュラーエコノミー(循環型経済)をはじめとする環境分野と、持続可能なビジネスモデルや公共事業への転換に大きな貢献が期待されています。

持続可能な社会を目指す取り組みは世界的にも進んでおり、今後もシェアリングエコノミー分野の成長が予想されるでしょう。

サーキュラーエコノミーについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:サーキュラーエコノミーとは?そのメリット・デメリットや企業の取り組み事例を解説

最新情報を知るなら「サーキュラー・エコノミーEXPO」へ

持続可能な社会を目指す動きが進んでおり、企業にもサーキュラーエコノミー(循環型経済)の経営が求められています。サーキュラーエコノミーの最新情報を知りたい方は、「サーキュラー・エコノミーEXPO」にご来場ください。

サーキュラー・エコノミーEXPOは、循環型経済・サステナブル経営に特化した専門展であり、以下のような事業に取り組むメーカー・商社が出展します。

  • サステナブル経営支援などのコンサルティング
  • 製品設計などのサーキュラーデザイン
  • バイオプラスチックなどのサステナブルマテリアル
  • クラウドサービスなどのPaaS(製品のサービス化)支援
  • 資源回収・リサイクル・再製品化技術など

本展示会では、実際の機械・デモ機を見ながら商談が可能なため、ご来場いただくと出展企業の方から直接製品の説明を受けることが可能です。加えて、会期中は毎日セミナーが開催されるため、サーキュラーエコノミーへの理解をさらに深められます。

また、本展示会では出展も受け付けています。ご出展いただくと直接製品の魅力を来場者へ伝えられ、新規顧客を獲得する機会にもなるため、関連企業はぜひ出展をご検討ください。

サーキュラー・エコノミーEXPOの詳細はこちら

シェアリングエコノミーの知識を深めて持続可能な社会の実現を

シェアリングエコノミーは、インターネットを介して活用できる場所・モノ・スキルなどをシェアすることで生まれる新たなビジネスモデルです。

地域課題の解決や持続可能な社会への貢献が期待されており、新たな成長分野として注目されています。シェアリングエコノミーの知識を深めて持続可能な社会の実現を目指しましょう。

また、持続可能な社会を目指す取り組みとして、企業にもサステナブル経営が求められています。

サーキュラー・エコノミー EXPOは、循環型経済・サステナブル経営に特化した専門展です。サステナブル経営の実現を目指す企業様はぜひご来場ください。

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※「サーキュラー・エコノミー EXPO」は「サステナブル経営WEEK(旧称:GX経営WEEK)」の構成展です。

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▶監修:近藤 元博(こんどう もとひろ)

肩書:愛知工業大学 総合技術研究所 教授

プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムの開発、導入を推進。併せて生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクルなど幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入を推進。
「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」「市村地球環境産業賞」他資源循環、エネルギーシステムに関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他


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