【会期中インタビュー】
WIND EXPOで語られた「洋上風力をめぐる二つの視点」――成長戦略とエネルギー革命
インタビュー:浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)国際連携部長 猪狩 元嗣氏
聞き手:WIND EXPO事務局(以下 事務局)
2026年3月17日(火)から3日間、WIND EXPO【春】~第17回 [国際] 風力発電展~(スマートエネルギーWEEK内)が開催されました。3/18(水)・19(木)に、浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)国際連携部長 猪狩 元嗣氏をモデレーターとして行われた講演では、洋上風力をめぐる短期的な政策視点と、長期的なエネルギーの流れという二つの切り口が語られました。事務局では、講演を終えたばかりの猪狩氏に、インタビューを行いました。講演後の質疑や会場の反応からは、昨年との違いも見えてきています。
二つの講演で描いた、洋上風力の「短期」と「長期」
事務局:今回の講演はどんな講演でしたか。
猪狩氏:
二つありまして、1日目は、高市政権の掲げる成長戦略というものと洋上風力との関係について、非常に豪華な方々に、例えてみると800メートル全力疾走みたいな感じで語っていただくというものでした。
一方で、最終日の方は、どちらかというとエネルギー革命あるいは産業機会振興ということで、もっと長いスパンの話、今に至るまでの70年くらいのレンジで日本という国はどうあるべきかということを、同じく豪華なメンバーで語っていただきました。これは適切な例えかは判りませんが、お茶碗を作るような、じっくりとした話でした。
洋上風力、「どうなりますか?」から「どう進めますか?」へ――参加者の問いが変わった
事務局:講演されての感想をお願いします。
猪狩氏:
どちらも共通するのは、去年に比べて、講演が終わった後の話として、洋上風力に対する期待が来ているな、皆さんが期待しているのだな、というのが分かったところです。
それから、去年に比べて今年の方が、会場もそうですが、明るい、活気があるというものを、終わった後の質問や、パネルディスカッションの時の皆さんの視線などから感じました。
事務局:未来への具体的な明るさについて、もう少し具体的に教えてください。
猪狩氏:
去年は、「洋上風力はどうなりますかね」という質問が多かったです。今年は、「どうやっていきますか」という質問が多いです。そこは非常に大きな違いだと思います。
去年も浮体を含めて、政府が洋上風力産業ビジョン第2次を出して、具体的な数字も出してきたことで、市場として、日本政府はやっていくのだな、ということが分かってきた、というところだと思います。
会期前は「論点整理」、会期中は「空気と手応え」
事務局:先日「会期前インタビュー」で語っていただきました。会期との違いは?
猪狩氏:
インタビュー記事の方が、今回のパネルディスカッションよりも、さらに踏み込んで、日本全体がどうなっていくのか、私どもが何を、FLOWRAという組合が何をやっていくのか、あるいは海外は何を考えているのか、という意味で、幅広く、奥行きも広くお話しさせていただきました。
WIND EXPOは「風力」だけでは終わらない――分野を越えて議論が交差する場
事務局:ほかの展示会や後援の場と、本展の違いはありますか。
猪狩氏:
一番大きいのは、スマートエネルギーWEEKという枠組みの中で、北海道の太陽光や水素など、そういったものを絡めているところです。
水素の展示会に来た人が風力に来る、風力の人が太陽光に行く、という形で全体像を見ることができます。話をしていると、「太陽光はどうだった」「水素はこうだね」「風力はこうなんだ」といった、クロスボーダーの話ができるところが、この展示会の魅力だと思います。
WIND EXPOで講演することの意味
事務局:講演されるメリットはどんな点にありますか。
猪狩氏:その時点でいろいろなことが関わっている中で、いろいろな方が考えていることを、なるべく早く伝えたいという時に、多くの方に来ていただいて話を聞いていただけると、「こんなことをやっている」ということをダイレクトに伝えることができます。
こういう場で話す機会がないと、書いたものを出していく場合など、伝わるまでに時間がかかります。展示会の講演では、その時点で一番フレッシュな情報を聞くことができます。それが、展示会における講演の価値だと思っていますし、それを出すことで、世の中に貢献できているのではないかと思っています。
読者へのメッセージ
事務局:本記事をご覧になっている方に向けて、メッセージをお願いします。
猪狩氏:
今回のパネルディスカッションの中で登壇された方のご発言にもありましたが、いろいろなメリット、デメリットを皆さん考えていく中で、スマートエネルギーWEEKという場所に来ると、次の世代に何を残していくのか、自分の子どもや、友達の子ども、近所の方、あるいはその先の子孫も含めて、世の中に対してどう貢献できるのかを考える、良い機会だと思います。
すでにお越しの方はご存じだと思いますが、まだお越しでない方も、ぜひ一度この展示会に足を運んでいただければと思います。
▶インタビューに答えていただいた方
浮体式洋上風力技術研究組合
国際連携部長 猪狩 元嗣氏
<プロフィール>グリーン経済の推進者として事業開発に携わり、現在は主に浮体式洋上風力発電に関わり、他に着床式洋上風力発電やグリーン水素・アンモニアにも注力。エネルギー業界での幅広い仲間・友人・知己との繋がりの中でグリーン経済の実現を推進。
編集後記
今回の取材を通じて感じたのは、洋上風力をめぐる議論が「どうなるか」ではなく、「どう進めるか」という段階に確実に移りつつあるということだった。
そうした変化は、最新のカンファレンスで語られる言葉だけでなく、出展社の取り組みや、会場で交わされる質問や視線の中にも表れている。
WIND EXPOに継続して参加することで、業界の動きを点ではなく流れとして捉え、次の一手を考えるための材料に触れ続けることができる。
その本気度に応え続ける場でありたい――本記事には、そんな思いも込めている。
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