JC-STARが太陽光・蓄電池の要件に | 対応状況を解説

近年、太陽光発電や蓄電池を狙ったサイバー攻撃のリスクが高まり、それらを構成するIoT機器のセキュリティ対策が重要な課題となっています。

国は、IoT製品のセキュリティ強化に向けた制度として「JC-STAR」の運用を進めています。2027年4月からグリッドコードが改定され、新たに系統へ接続する太陽光発電や蓄電池の関連機器にも、JC-STAR★1が適用される予定です。

本記事では、JC-STAR制度の概要や対象となる機器、国内外メーカーの取得状況、事業者が取り組むべき対応の流れまでを解説します。


▶監修:近藤 元博(こんどう もとひろ)

肩書:愛知工業大学 総合技術研究所 教授

プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」「市村地球環境産業賞」他 資源循環、エネルギーシステムに関する表彰受賞。

その後、経営企画、事業企画等に従事し、技術経営、サプライチェーンマネージメント及び事業継続マネジメント等を推進。

2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて環境経営支援、資源エネルギー技術開発等など社会実証に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 内閣府国土強靭化推進会議 委員他



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JC-STARとは

JC-STARは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2025年3月に運用を開始した、IoT製品向けのセキュリティ要件適合評価およびラベリング制度です。IoT製品のセキュリティ水準を一定の基準で示し、ユーザーの製品選びに役立てることを目的としています。

評価レベルは★1~★4までの4段階が設けられており、求められるセキュリティ水準に応じて使い分けられます。

※出典:経済産業省「IoT 製品に対するセキュリティ適合性評価制度構築方針」

上記のうち、★1と★2は、メーカー自身がセキュリティ要件を満たすことをIPAに申請して宣言する「自己適合宣言方式」です。★3以上は第三者認証が必要となり、政府機関や重要インフラなどでの利用が想定されています。

太陽光発電や蓄電池でJC-STARが重要となる背景

太陽光発電や蓄電池では、PCS(パワーコンディショナ)やネットワーク機器などが使われています。各機器は、遠隔監視や出力制御のために常時インターネットと接続されており、サイバー攻撃のリスクが高い点が課題です。

例えば、2024年5月には、コンテック社製の遠隔監視機器「SolarView Compact」が攻撃を受け、インターネットバンキングの不正送金に使用されました。

今後、太陽光発電や蓄電池などの分散型電源が系統に大量接続され、制御システムへのサイバー攻撃が行われると、電力需給が乱れ、電力供給の不安定化を招く恐れがあります。電力は社会基盤を支えるインフラであるため、セキュリティ対策は重要な課題です。
 

2027年4月のグリッドコード改定でJC-STAR★1取得が要件に    

グリッドコードとは、系統に接続する電源が守るべき技術ルールです。OCCTO(電力広域的運営推進機関)が中心となって検討・策定を進めています。

第20回グリッドコード検討会(2025年12月16日)では、2027年4月以降に新しく系統へ接続される太陽光発電と蓄電池には、JC-STAR★1を取得した機器の利用の要件化が決定されました。風力・燃料電池の適用時期は第21回(2026年3月31日)で決定されました。

以下では、要件が適用される時期や、対象となる機器・ならない機器について解説します。
 

JC-STAR★1取得要件の適用時期

JC-STAR★1の取得が要件となる時期は、電源の種類や規模によって異なります。主な区分は以下のとおりです。

※ゲートウェイのファイアウォール(または同等の防御機能を有する機器)に限定した先行適用。その他の機器は対象範囲・時期を今後検討予定です。
※出典:資源エネルギー庁「分散型電源のサイバーセキュリティ対策の要件化について」

太陽光発電と蓄電池のうち、低圧(50kW未満)の設備は、適用が2027年10月と半年遅く設定されています。これは、流通在庫として従来製品がしばらく残ると見込まれるための経過措置です。

対象となる機器・ならない機器

JC-STAR★1の取得が求められる機器は、IP通信を通じて遠隔監視や操作を行う制御システムです。具体的には以下の機器が対象となり得ます。

  • PCS(パワーコンディショナ)
  • EMS(エネルギーマネジメントシステム)
  • BMS(バッテリーマネジメントシステム)
  • ゲートウェイ

一方、発電設備の制御に直接関わらない一般的なIP通信機器、例えばルータや監視カメラなどは、原則として要件の対象外です。

ただし、発電設備や充放電設備を制御する機能を持つ場合は対象に含まれることがあるため、機器単位での個別確認が求められます。

BMSについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:BMSとは?主な機能や蓄電池に欠かせない重要な役割を解説

JC-STARへの太陽光発電関連メーカーの対応状況

2027年4月の要件化を控え、各メーカーはJC-STARの取得を進めています。国内メーカー、海外メーカー、EMS・ゲートウェイ関連の順に取得状況を解説します。
 

国内メーカーの取得例

国内では、蓄電システムやPCSなどの製品単位で、JC-STAR★1の適合ラベルを取得する動きが広がっています。以下は、2026年6月時点での主な取得例です。

※出典:独立行政法人情報処理推進機構「適合ラベル取得製品リスト」

製品ごとの型番や適合レベルは、IPA公式サイトの「適合ラベル取得製品リスト」で型番単位で確認でき、機器選定時の確認ツールとして使用できます。

ただし、ラベルには「有効」「失効猶予(延長申請中)」「失効(有効期限切れ)」などのステータスがあり、内容は随時更新されるため、選定の際は最新版での状況の確認が必要です。最新情報はIPAの適合ラベル取得製品リストをご確認ください。

海外メーカーの取得例

JC-STAR★1の取得は、国内メーカー製だけにとどまりません。海外メーカー製も、日本市場向けの製品で適合ラベルの取得を進めています。主な例は以下のとおりです。

※出典:独立行政法人情報処理推進機構「適合ラベル取得製品リスト」

上記のように各社が取得を進めており、海外メーカーの製品だからといって選定の候補から外れるわけではありません。

EMS・ゲートウェイ・アグリゲーターの対応状況

EMS・ゲートウェイ関連でも、オムロン ソーシアルソリューションズや三菱電機などが提供する機器の取得が進んでいます。

特にアグリゲーターにとっては、EMSやゲートウェイの適合確認は喫緊の課題です。ERABガイドラインVer3.0ではR4・R6の経路に★1が「勧告」として求められており、グリッドコード改定を待たずにJC-STAR対応がすでに始まっています。

太陽光発電はPCSや蓄電池などの機器本体だけでは完結しないため、EMSやゲートウェイを含めたシステム全体の対応が必要です。
 

JC-STAR未対応のリスク

機器がJC-STARに対応していない場合、事業にいくつかの支障が生じるリスクが想定されます。主なリスクは以下のとおりです。

  • 未対応機器では系統接続が認められなくなる
  • 補助金の申請に影響を与える可能性がある

以下では、2つの観点からリスクを解説します。

未対応機器では系統接続が認められなくなる

最も直接的なリスクは、系統に接続できなくなる可能性がある点です。特別高圧・高圧は2027年4月、低圧(50kW未満)は2027年10月以降に接続契約を申し込む案件で、★1未取得の機器を使用した場合、系統接続要件を満たさなくなります。

系統に接続できなければ、発電しても売電収入は得られません。プロジェクト全体の収支計画が成り立たなくなるため、機器選定の段階での適合確認が不可欠です。

適用の起点は、OCCTOの検討会改定案では系統アクセスへの「契約申し込みの時点」とされています。そのため、すでに発注や施工が進んでいる場合でも、申し込みの時期によっては対象となるため、確認しましょう。
 

補助金の申請に影響を与える可能性がある

JC-STARが関わるのは、系統連系の要件だけではありません。再エネ関連の補助金でも、適合機器の使用が要件に組み込まれつつあります。

例えば、環境省の「ストレージパリティ補助金」(令和7年度補正予算)では、JC-STARの対象機器について★1以上の取得製品を原則必須としており、令和8年度予算の公募からは、未取得製品が使えない完全必須になる見込みです。

「再エネ電源併設蓄電システム等導入支援事業」(令和7年度補正予算)でも、BMS・PCS・EMSなどに★1の取得が求められています。

要件は年度や事業ごとに異なるため、補助金の活用時には、その時点の要件の確認が必要です。
 

JC-STARへの対応の流れ

JC-STARへの対応では、自社の設備状況の正しい把握が重要です。具体的には、以下のステップで進めます。

 ① 対象となる機器を棚卸しする
 ②  JC-STARへの適合状況を確認する
 ③ 適用開始時期を確認する

各ステップの詳しい内容を解説します。
 

①対象となる機器を棚卸しする

まずは、導入予定または使用中の対象機器を一覧にして、メーカー名と型番を洗い出します。PCSやEMS、ゲートウェイなど電力制御に関する装置が主な対象です。

棚卸しの基準は、IP通信を用いる制御システムかどうかです。例えば、蓄電池のセルやパック本体はIP通信機能を持たなければ対象外ですが、それらを制御するPCSやEMSは対象になります。

事業用太陽光発電や系統用蓄電池など、用途によって機器構成は異なるため、案件ごとの棚卸しが求められます。
 

②JC-STARへの適合状況を確認する

次に、棚卸しで把握したメーカー名と型番をもとに、各機器のJC-STARへの適合状況を確認します。

IPAが公開する「適合ラベル取得製品リスト」を使えば、★1取得の有無とステータスを型番単位で調べられます。リストに型番が掲載されていない場合は、メーカーに直接確認しましょう。
 

③適用開始時期を確認する

最後に、対象設備が高圧(2027年4月適用)か低圧(2027年10月適用)かを分類し、系統連系の契約申し込みの予定時期と照らし合わせます。着工・完工のスケジュールだけでなく、契約申込日を軸にした工程の管理が必要です。

提出書類の最終的な形式など、細かな手続きは案件ごとに異なる場合があるため、詳細は管轄の一般送配電事業者に照会しましょう。

JC-STARと国際相互承認の今後の広がり

JC-STARは日本独自の制度ですが、各国の類似したIoTセキュリティ認証制度との連携・相互承認が進められており、国際的なセキュリティ認証の基盤として広がりを見せています。

2026年時点での主な状況は以下のとおりです。

※出典:独立行政法人情報処理推進機構「JC-STAR活用に向けた取り組み」

相互承認が広がれば、国ごとに別々の認証を取得する手間を軽減でき、海外展開のハードルも下がります。JC-STARへの対応は、国内向けの備えにとどまらず、輸出を見据えた海外事業への取り組みにつながります。

JC-STARに関する情報収集なら「PV EXPO 太陽光発電展」「SMART GRID EXPOスマートグリッド展」へ

JC-STARの要件化を受けて、PCSやEMS、蓄電池の選定基準は大きく変わろうとしています。最新の適合機器や今後の技術動向を把握したい方には、「PV EXPO 太陽光発電展」「SMART GRID EXPOスマートグリッド展」への来場がおすすめです。

PV EXPO 太陽光発電展は太陽光発電に特化した展示会で、太陽電池モジュールやPCS、施工・保守サービスまで、関連する製品・技術が一堂に集まります。

SMART GRID EXPOスマートグリッド展は、エネルギーマネジメント技術や蓄電池・系統用設備をはじめ、スマートグリッドに関連する多くの製品・技術が出展される展示会です。

なお、各展示会では、出展企業を募集しています。発電事業者やアグリゲーター、需要家など多くの見込み顧客が来場するため、JC-STAR関連の製品・技術をお持ちの方は、ぜひ出展をご検討ください。

PV EXPO 太陽光発電展の詳細はこちら
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2027年4月に向けて太陽光発電・蓄電池のJC-STAR対応の準備を進めよう

カーボンニュートラル実現に向けて再生可能エネルギーの導入が広がるなか、太陽光発電や蓄電池のサイバーセキュリティ対策の重要性が高まっています。

グリッドコードの改定により、2027年4月以降に系統へ接続する太陽光発電と蓄電池では、JC-STAR★1を取得した機器の使用が求められることになりました。事業者には、機器の棚卸しからメーカーへの照会、工程の見直しまで、計画的な準備が求められます。

JC-STAR対応を見据えた機器選定や情報収集の場として、「PV EXPO 太陽光発電展」「SMART GRID EXPOスマートグリッド展」をぜひご活用ください。

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※「PV EXPO 太陽光発電展」は、「SMART ENERGY WEEK -スマートエネルギーWeek-」の構成展です。
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▶監修:近藤 元博(こんどう もとひろ)

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プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」「市村地球環境産業賞」他 資源循環、エネルギーシステムに関する表彰受賞。

その後、経営企画、事業企画等に従事し、技術経営、サプライチェーンマネージメント及び事業継続マネジメント等を推進。

2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて環境経営支援、資源エネルギー技術開発等など社会実証に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 内閣府国土強靭化推進会議 委員他


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