◆FC EXPO ~【国際】水素・燃料電池展~ 出展社インタビュー
「iLabo株式会社」様

知名度向上だけでなく、予想外の
方面からのオファーに気がつけた。

<お話をうかがった方>
iLabo株式会社 営業本部長
小松 久宣 様

今回は、FC EXPO2023[春]初出展と同時に、国内はもとより海外メディアからも大きな注目を集めたiLabo(アイラボ)様に登場いただきました。トラックやクレーン等のディーゼルエンジンを水素エンジンにコンバートする画期的な技術の紹介とともに、環境省の実証試験車である実物トラック1台を展示するという手法も大きな話題に。初出展の決め手や狙い、集客効果などをインタビューさせていただきました。

◆「固定概念をひっくり返せる展示」を狙って

―iLabo様は2019年に創業され、ディーゼルエンジントラックを水素化コンバージョンにより水素エンジンで走るトラックに変える技術により2021年には環境省実施の「水素内燃機関活用による重量車等脱炭素化実証事業」に採択されました。

小松 日本では今後、水素エンジンが欠くことができないものとなるだろうとの使命のもとで、iLaboは設立されました。創業は2019年ですが、そのベースには創業陣による50年にわたる水素エンジン研究の蓄積があります。今でこそクローズアップされている水素エンジンですが、創業当時は世間からはまだまだ未来の先のことというイメージしか持たれていませんでした。そこに少しおこがましいかもしれませんが、一石を投じる気持ちで会社を設立。2021年には環境省の委託・補助事業「水素内燃機関活用による重量車等脱炭素化実証事業」受託となり、ここから本格的な始動となりました。この事業は既存トラックのディーゼルエンジンを、コンバージョンにより水素燃料で走行する水素エンジントラックに改造して、走行時のCO2を限りなくゼロに近づけるというものです。最終年度となる今年は、水素エンジントラックの貨物輸送を行い、安全性や実用性、経済性を検証します。

―今回、FC EXPO2023[春]への出展を決められた理由は?

小松 水素エンジンそのものを作る企業が一般的な中、iLaboでは「既存のディーゼルエンジンを少しの改造により水素で動くようにする」コンセプトを打ち出すわけですから、市場の固定概念をひっくり返してみせるようなアクションが必要だと考えていましたが、そのイメージ作りとしてどこに出展するのが最も良いかと悩みました。「トラックをメインに打ち出しているからトラックのフェアなのか、いや違うだろう。」「脱炭素やカーボンニュートラルの視点から考えて、FC EXPOが一番だろう。」となり決まったわけです。とはいえ、最初は費用等の問題もあり、反対する人間も多かったようです。最終的には、世間への認知度向上や今後の営業展開を考えて決して高くはないと決着して、出展が決まりました。

―「既存のエンジンを水素エンジンに改造」というのは、新しい切り口ですよね。

小松 日本でパワーが必要なエンジンを所持しているのは、運輸や建機・工事現場関係・船舶といった業界になりますが、そういった業界で国からの脱炭素への取り組みに応えてまるごとそっくり新車に買い替えられる会社はそれほど多くはないと思うのです。「取り組みはしたいがクレーンもショベルカーもまだまだ現役で何十年も使えるし、買い替えは無理だ」と困っている事業者さんに、こんな方法がありますよと、ぜひお伝えたいですね。脱炭素に関する取り組みをしているかどうかが入札の条件になってくる場合もありますから、この悩みは今後増えてくると思います。

―自動車メーカーがEV化に動くと必要な部品が少なくなるために雇用問題にも影響がでると言われていますが、既存エンジンを使う水素化コンバージョン技術では、雇用を守りながら脱炭素化を進めていける点でも素晴らしいですね。

小松 そんなふうに言っていただけるのはうれしいです。今回の出展では、部品サプライヤーさんからのアプローチも非常に多かったです。

―FC EXPO出展の効果は、実感されていますか?

小松 いやもう、最高です。特に事前プロモーションは一切行っていなかったにもかかわらず、ユーザーさんからサプライヤーさん、国内や海外の報道メディアなど、多数の来場がありました。非常に認知度向上があったと感じています。

今回うちからは主に2つの展示をしました。ひとつは改造した部分のエンジンパーツのディスプレイです。そしてもうひとつ、トラック1台をそのまま展示しました。これには当日ちょっと会場もざわついていましたね。

―トラックを持ってきた展示は、インパクトがありましたし、集客につながっていましたね。

小松 そうですね。展示会場内で目立っていたし、写真を撮っていかれる方が非常に多かった。報道関係の方も多くて、取材数は海外も含めて10社は優に超えていました。一般の記事にも多く取り上げられ、認知度向上効果は十分あったと思います。さらに個人のYouTuberみたいな方からも注目されていましたね。
うちの経営陣はシリコンバレーで大きな会社を経営したり大会社の監査をやったりと、ご存じの人から見ればそれなりに評価をいただける部分があるかもしれませんが、世間的にはベンチャーです。会社規模だけを考えると大きな会社へのアプローチは門前払いの可能性もあったわけです。それがこの展示をきっかけとして先方の方からアプローチいただくこともできたのは、大きな成果だったと思います。

―出展をきっかけにつながってみたい会社像のようなものは、事前にありましたか?

小松 それはやはり下心はありました。そして想像以上の新規お客様獲得ができたと思います。また先ほど少しお話ししたように、サプライヤーさんからのアプローチもかなりありまして、これもまた非常に助かっています。海外のメーカーからもオファーをいろいろといただけたというのも、今回のFC EXPO出展で我々の勉強になったところです。海外からの注目度の高さに気がつき、これまで日本語だけだった自社ホームページに英語サイトを急遽追加しました。

◆初出展準備では、コールセンターを活用

―FC EXPOにむけた出展準備についてお聞きします。困ったことがあったなど、ぜひ率直にお話しください。

小松 一番初めから準備を担当していた社員からは、これはお世辞でもなんでもなくRX Japanさんのコールセンターの対応の良さを、今回の取材でぜひ伝えて欲しいと言われております。それはもう感動しておりました。困ったことなどは、確かにいろいろとあったと思います。サイズやライティングの問題、コンセント設置など。ただこのあたりの諸々を含めてコールセンターに連絡すると、手際よく親切に対応いただけたということです。

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■ iLabo

2023出展「水素化コンバージョン技術」とは?

現在使用中のトラック等のディーゼルエンジンを、部品交換を行うだけで水素エンジン化することができる、iLabo社の独自技術。エンジンと燃料供給系の部品を水素燃料用部品と交換するだけで可能であり、専門施設は必要なく通常の自動車整備工場で対応できるレベルまで標準化。新車購入に比較して大きなコスト低減が可能です。

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<スマートエネルギーWeek>

会期: 2023年9月13日(水)~15日(金)10時~17時
会場:幕張メッセ
主催:RX Japan 株式会社

※最新情報は展示会HPをご確認ください

スマートエネルギーWeek 公式HP

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