日本における発電割合は?
再生可能エネルギー発電の現状や今後とともに解説

日本における発電割合は?再生可能エネルギー発電の現状や今後とともに解説

日本の発電割合は化石燃料由来の電力が主流ですが、近年は再生可能エネルギーをはじめとした非化石燃料の発電割合が増加しています。世界的な脱炭素に向けた流れのなか、日本においても国や企業が連携し再生可能エネルギーの導入や普及拡大を進めることは喫緊の課題です。

本記事では、日本の発電割合の内訳や推移、世界各国の発電割合との比較を紹介します。また、導入が進められている再生可能エネルギーの種類や特徴、エネルギー基本計画で示された今後の見通しも解説します。


▶監修:近藤 元博(こんどう もとひろ)

肩書:愛知工業大学 総合技術研究所 教授

プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムの開発、導入を推進。併せて生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクルなど幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入を推進。
「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」「市村地球環境産業賞」他資源循環、エネルギーシステムに関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他


目次

  • 日本の発電割合
  • 再生可能エネルギーとは
  • 主な再生可能エネルギーの種類と特徴
  • 日本の発電割合に影響を与える「エネルギー基本計画」
  • 脱炭素に向けて企業でも再生可能エネルギーの導入が求められている
  • カーボンニュートラルの実現に向けて「SMART ENERGY WEEK -スマートエネルギーWeek-」の活用を
  • 再生可能エネルギーの発電割合は今後も増加する見通し

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日本の発電割合

※1出典:資源エネルギー庁「集計結果又は推計結果(総合エネルギー統計)」

資源エネルギー庁が発表した「令和5年度(2023年度)エネルギー需給実績(速報)」によると、2023年度の発電電力量は9,854億kWh※2です。そのうち、エネルギー源ごとの発電割合は上記とおりです。

日本の発電割合のうち、最も大きなシェアを占めるエネルギー源は天然ガス(32.9%)です。次いで石炭が28.5%のシェアを占めており、石油などの7.3%を加えると化石燃料の発電割合は68.6%です。

一方、再生可能エネルギーをはじめとする非化石燃料の発電割合は31.4%を記録し、東日本大震災以降はじめて30%を超えました。

再生可能エネルギーでは太陽光発電(9.8%)が最も割合が多く、水力発電が7.6%、バイオマス発電が4.1%、風力発電が1.1%、地熱発電が0.3%の発電割合です。

※2出典:資源エネルギー庁「令和5年度(2023年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)」

日本の発電割合の推移      

※1出典:資源エネルギー庁「令和5年度(2023年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)」

日本の発電割合は化石燃料への依存度が大きいものの、近年では、再生可能エネルギー由来の発電割合が増加傾向にあります。

特に太陽光発電の割合は大きく増えており、2010年度は全体の0.3%でしたが、2023年度には全体の9.8%へと増加しました※2。その他、風力発電は2010年度の0.3%が2023年度は1.1%へ、バイオマス発電は2010年度の1.3%から2023年度は4.1%へと増加しています※2。

カーボンニュートラルの実現に向け、国や発電事業者は化石燃料に依存しない発電方法の導入を進めています。その流れのなかで、発電電力量に占める再生可能エネルギーの発電割合は増えています。

※2出典:資源エネルギー庁「集計結果又は推計結果(総合エネルギー統計)」

世界各国の発電割合との比較    

※出典:資源エネルギー庁「エネルギーを巡る状況について」

資源エネルギー庁がIEA(国際エネルギー機関)のデータなどをもとに作成した図によると、2022年度の再生可能エネルギー(水力を除く)の発電割合はドイツが40.7%、イギリスが40.2%、EUが28.8%とヨーロッパを中心に多い傾向です。

一方、日本やアメリカ、中国での再生可能エネルギーの割合は15%前後の水準であり、今後さらなる脱炭素化に向けたエネルギー構造の転換が求められています。

なお、フランスでの発電割合は62.8%を原子力が占めており、中国やインドでは石炭由来の発電割合が約60%~70%と高い割合を占めています。カナダは水力の発電割合が61.1%と高く、イタリアやイギリスでは天然ガスによる発電割合が多いなど、各国の発電割合は様々です。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、自然界に存在していて枯渇する心配がなく、CO2(二酸化炭素)を排出しないエネルギーです。

再生可能エネルギーは発電時にCO2を排出しないため、脱炭素化に貢献します。太陽光や風力、地熱など国内でエネルギー源を確保できることから、エネルギーの安全保障にも役立つエネルギー源です。

再生可能エネルギーの種類には、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電や地熱発電などが挙げられます。

再生可能エネルギーの導入が進められる理由

日本を含め、再生可能エネルギーは世界各国で導入が進められています。その背景にある主な理由は以下のとおりです。

  • 脱炭素による地球温暖化対策
  • エネルギー自給率の向上
  • 国際競争力の強化
  • 雇用創出や地域活性化

再生可能エネルギー導入が進められる大きな理由は、化石燃料に依存しない発電による地球温暖化対策です。平均気温上昇による気候変動は世界的な問題になっており、2016年に発効したパリ協定の実現に向け、各国で再生可能エネルギーを含めた対策が進められています。

また、エネルギー資源の8割以上を海外に依存する日本にとって、再生可能エネルギーの導入はエネルギー自給率の向上に役立ちます。

その他、エネルギーコスト削減による国際競争力の強化、導入に伴う投資による雇用創出や地域活性化なども、再生可能エネルギーの導入拡大の目的です。

主な再生可能エネルギーの種類と特徴

再生可能エネルギーは、脱炭素化やエネルギーの安定供給に重要な役割を果たしており、複数の種類が存在します。太陽光発電や風力発電など、主な再生可能エネルギーの種類と特徴を解説します。
 

太陽光発電

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する発電方法です。ソーラーパネルに重ねられたN型半導体とP型半導体の性質により、電気を発電します。

太陽光発電は発電の仕組みが比較的単純で、日当たりの良い立地があれば導入が可能です。導入へのハードルが低いこともあり、2023年度時点での発電割合は再生可能エネルギーのなかで最も高い9.8%を占めています。

太陽光発電についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:太陽光発電のメリットとデメリットをわかりやすく解説!具体的な導入事例も紹介

風力発電

風力発電は、風の力を利用して発電する方法です。風力エネルギーを風車によって動力に変換し、その動力を活用して発電します。

風力発電は2023年度の発電割合のうち、全体の1.1%を占める発電方法です。陸上風力発電と洋上風力発電の2種類があり、海に囲まれた日本では洋上風力発電のポテンシャルが高いとされています。

風力発電についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:風力発電の仕組みは?種類や特徴など基本情報を徹底解説!

バイオマス発電

バイオマス発電は、生物資源(バイオマス)を利用して発電する方法です。林地残材や製材廃材、食品廃棄物や農業系のバイオマスを、直接燃焼や熱化学的変換などの技術を活用し発電します。

2023年度の発電割合のうち、バイオマス発電は全体の4.1%を占めています。脱炭素につながるだけでなく、資源の有効活用にも役立つ発電方法です。

バイオマス発電についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:バイオマス発電とは?メリット・デメリットを解説!仕組みや将来性、国内の事例も紹介

地熱発電

地熱発電は、地下深くにたまった「地熱」を利用して発電する方法です。地下のマグマ溜まりで熱せられた蒸気や熱水をくみ上げ、その蒸気でタービンを回して発電します。

地熱発電は太陽光発電や風力発電と比較し、天候や風況に左右されない点がメリットです。一方、開発に時間がかかり、リスクもあるため、2023年度での発電割合は全体の0.3%にとどまっています。

地熱発電についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:地熱発電とは?仕組みやメリット・デメリット、今後期待される技術など解説

水素発電

水素発電は、水素を燃料とした発電方法です。火力発電の燃料である天然ガスを水素に置き換えることで、CO2排出量の少ない発電を実現します。

水素エネルギーは今後の需要が見込まれていますが、水素発電技術は社会実装へ向け研究・開発の途上にある技術です。燃料と空気を別々に噴射する「拡散燃焼方式」や混合した燃料と空気を噴射する「予混合燃焼方式」などの開発が進められています。

水素エネルギーについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:水素エネルギーとは?メリット・デメリットと企業の活用事例から見る将来性を解説

日本の発電割合に影響を与える「エネルギー基本計画」

エネルギー基本計画は日本のエネルギー政策の指針を示す計画で、今後の日本の発電割合に影響を与えます。エネルギー基本計画の概要と第7次エネルギー基本計画の内容を以下で紹介します。
 

エネルギー基本計画とは

エネルギー基本計画とは、エネルギー政策基本法に基づいて国が策定する計画です。

エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済効率性の向上(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)に安全性(Safety)を加えた「3E+S」の考え方をもとに策定されます。

エネルギー基本計画は、2003年に第1次エネルギー基本計画が策定されて以来、約3年に1度の頻度で見直され、日本の中長期的なエネルギー戦略の指針を示しています。

第7次エネルギー基本計画の内容

2025年2月、第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました。計画のなかで、2040年度に向けた再生可能エネルギーの発電割合の見通しは以下のように示されています。

※出典:資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要」

再生可能エネルギー全体の発電割合は2023年度(速報値)で22.9%でした。第7次エネルギー基本計画では、2040年度には全体の4~5割程度を占め、主力電源として今後最大限導入する見通しです。

脱炭素に向けて企業でも再生可能エネルギーの導入が求められている

気候変動対策として脱炭素化が求められ、国による再生可能エネルギーの導入が進められるなか、企業でも再生可能エネルギーの活用が注目されています。

特に近年はESG投資が広まり、環境や社会に配慮した経営はステークホルダー(企業の利害関係者)からの信頼獲得のために重要な施策です。

例えば、電力の再生可能エネルギープランへの変更は企業の脱炭素化に有効です。

その他、競り下げ方式で低廉な再エネ電力を利用できる「リバースオークション」、発電した電気を自社設備で使用する「自家消費型太陽光発電」など、様々な再生可能エネルギーの導入方法が提供されています。

カーボンニュートラルの実現に向けて「SMART ENERGY WEEK -スマートエネルギーWeek-」の活用を

カーボンニュートラルの実現に向けて、多くの企業で脱炭素の目標が掲げられています。しかし、実現には多くの課題があり、企業は新エネルギーの情報収集が必要です。

脱炭素の実現に欠かせない新エネルギーの最新技術・情報を得るなら「SMART ENERGY WEEK -スマートエネルギーWeek-」をぜひご活用ください。

SMART ENERGY WEEK -スマートエネルギーWeek-は、以下8つの展示会で構成された新エネルギー総合展です。

 

SMART ENERGY WEEK -スマートエネルギーWeek-には、水素や太陽光発電、風力発電など、新エネルギーに関する技術や企業様が集まります。ご来場いただくと、業界の最新情報が得られる他、出展社様と対面で製品受注や見積打合せなどの商談も可能です。

また、SMART ENERGY WEEK -スマートエネルギーWeek-ではご出展いただける企業様も募集しております。ご出展いただいた場合、新規参入を考える企業様など出会う場となり自社製品の認知度向上に繋がるため、出展をぜひご検討ください。

再生可能エネルギーの発電割合は今後も増加する見通し

日本の発電割合では、非化石発電比率が2023年度に31.4%に達し、30%を超えました。第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの発電割合が全体の4~5割程度の見通しで、今後も導入は増加する見込みです。

カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの導入をはじめとする脱炭素は、企業にとっても重要な課題です。脱炭素の実現に欠かせない新エネルギーの最新情報を知りたい企業の方は、SMART ENERGY WEEK -スマートエネルギーWeek-にぜひご来場ください。

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▶監修:近藤 元博(こんどう もとひろ)

肩書:愛知工業大学 総合技術研究所 教授

プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムの開発、導入を推進。併せて生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクルなど幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入を推進。
「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」「市村地球環境産業賞」他資源循環、エネルギーシステムに関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他


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